自転車は体の一部である。
パイロットが搭乗機の微妙な差異が判るように、
自分の体の変調を感じ取ることができるように、
ロード乗りもまた、自機とのわずかな不一致を違和感として感じる。
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(・ω・ ) <ぶーんぶーん
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◎┴し’-◎ ≡
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(・ω・` ) ・・・。
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ロード乗りは自身が発動機であるため、自機との違和感の所在がわからないことがある。
自機のものなのか、自身のものなのか。
それを判別するために必要なもの、それが経験である。
最近何か違和感があった。
∧ ∧ ∧ ∧ まって~
(゚Д゚, )⌒ヽ (゚Д゚,;)⌒ヽ
O┬Oc )~ O┬Oc )~
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なんかつかれる。
ハァ ∧ ∧
ハァ (゚Д゚,;)⌒ヽ
O┬Oc )~
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前傾姿勢がつらい。
というか手がハンドルに詰まる。
下ハンを持つほうがむしろ楽に漕げる。
左肩が痛い。引き足が使いにくい。
たしかにマッキーのロードバイク(通称スカイ号)は重いし、峠ばっかりの東京の山奥じゃこのフレームの本来の利点を活かせてないのかもしれない。それに乗り手の軽量化と出力増強もまだまだだ。
疲れやすいのは乗り手の貧脚のせいだと思っていた。
ポジションやフォームも、自分の乗り方や意識の仕方で変えられるものだと思っていた。
しかし変えられないものもある。
それはフレームだ。
フレームによる差はあまりないものだと思っていた。
重量や素材の差は変えられないが、サイズが同じであればメーカーやシリーズによる差はどうにかなるものだと。
しかし、それは単なる勉強不足である。
今回が初号機なのでしょうがないといえばしょうがないが、それにしても無知であった。
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東京でお世話になってるショップに行った。
たまたまクランクの見積もりに行ったのだ。
「・・・なんか、ハンドルかなり近くないですか??」
たしかに近いと思っている。
しかしフレームサイズは48だった。女性モデルの一番大きいサイズだ。
マッキーの身長は165cmである。
. ∧_∧
(´・ω・`) ・・・そうなの?
. (∩∩)
サイズ合わせしてもらったので間違いないと思っていた。
ポジションに大きく影響するのはフレームサイズのうちトップチューブの長さである。フレームサイズで言うところの48とか51とかっていうのはクランクの真ん中からシートポストまでの長さを指標にしたものらしい(メーカーにより一致してない時もあるので要確認)。シートポストまでの長さはサドルの調節でなんとでもなる。しかしトップチューブは伸ばせない。伸ばすとしたらサドルを前後に調節するか、ハンドルをステムで伸ばすか、だ。
しかし、サドルはペダルの踏み込みの位置と合わせるため、長さを伸ばす目的では動かさない。
残るはハンドルをステムで伸ばすことだが、ハンドルの直径が大きくなるためステムを長くするとハンドルを大きく切らなくてはいけなくなり、小回りが効かなくなる。
つまりフレームを選ぶ時はトップチューブの長さはきちんと気にしないといけない点なのである。
それでフォームが決まるからだ。
もっというと、体へ無理なく負荷がかかるか決まるからだ。
つまり、体を壊さずにロードバイクを楽しむためにはきちんとしたフォームが必要なのである。
それなりの距離を走る場合は、特にそうだ。
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スカイ号を計測した。
トップチューブは49cmだった。
マッキーは身長165cm、手の長さは長めの全長175cm。
身長に比較して手が長いため、トップチューブが長めのほうがいい。
この体格を考えるとトップチューブ長は52cmくらいになるだろうか。
少なくとも49cmはありえない。短すぎる。49cmは女性用フレームの最小サイズと同じくらいだ。
トップチューブが短いと体が起きるため、初心者には乗りやすい。
しかし慣れてくると前傾姿勢が取りにくく、全身運動にならない。足ばかりに負担がいってしまう。
つまりママチャリの筋肉でロードに乗っているも同然である。
・・・フレームが小さすぎたんだ。
. ∧_∧
(´;ω;`) そ、そんなことナイ・・・はず。
. (∩∩)
スカイ号はマッキーのロードバイク初号機である。
2011年の9月に札幌で出逢った。
ロードバイクに関して全くの無知だったマッキーだったが、
なにか仕事以外に浪漫を求めていたマッキーはロートバイクに乗ることにした。
当時の家の近くにロードバイクの充実したこじんまりしたショップがあった。
店長はツール・ド・北海道にもよくメカニックとして参戦していた。気さくなおっちゃんだった。
自分の乗り方を伝え、フレームの選択は店長にお願いした。
「1泊2日で稚内から札幌まで(400km)走りたい」
そして、このスカイ号と出逢った。
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ( _)
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄旦 ̄(_, ) 札幌には1年もいなかった。
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| .( ( | |\
| ) ) ) | | .|
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/― ∧ ∧ ――-\≒ 北海道の夏を走ることはなかった。
/ ( ) \ それでも北海道の空の下は最高だった。
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( ・ω・) 店長にもお世話になった。
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<⌒/ヽ-、___ こっちに来てからも、しばらくお世話になった。
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客観的に考えれば、
フレームは自分の体にあったものに新調するのがベストの選択だろう。
行きつけのお店にはいくつかフレームを紹介してもらった。
フレームの情報は素人よりもメカニックのほうがよく知っている。
付け焼刃の素人知識でああだこうだ選ぶより、目的とフレームの相性、利点・欠点を十分に把握している人に説明してもらうほうがおそらくずっと的確だろう。
選択肢は大きく4つ考えられる
・気に入ったフレームに新調する
・予算内で適度に走るフレームを新調する
・フレームはそのまま、ステムを3cm伸ばす
・人からフレームをもらう
ステムを3cmも伸ばすなんて無理がありすぎる。
たかが3cm、されど3cm。ハンドルの操作性には3cmの変化は大きすぎる。
調節はできても完璧なフォームは得られない。ステムの+3cmとはそういう長さらしい。
人からフレームをもらえるのは助かるけども、やはり自分のものでないものは全力で乗れないのである。気持ちの問題だけど、長い目でみると結構大きな問題だ。
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しかしイマイチピンと来ない。きっと頭がうまく回っていないんだ。
スカイ号、キミは一体誰なんだ?
どういう意図で紹介されたんだ?
新しいフレームにしたら、キミは一体どうなる?
新しいフレームにするなら、一体何を選べばいい?
・・・いままで自分が乗ってたのはロードバイクじゃなかった。
<⌒/ヽ-、___
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なぜかあんなに頑張って峠を登っていたことが馬鹿らしく思えた。
あんなに重い思いをして登っていたのはフレームが重いせいじゃなかったのか。
そんな自分が、表彰台に上ってしまって申し訳ない気持ちになった。
とにかく、悶々とした。
どこかで何かが間違っていたんだ。
しかしそこはどこなのだろう?
わからなければわからないほど疑いと不安は大きくなる。
すべてを疑っても始まらない。
まずは何が正しくて何が間違いだったのか、これをはっきりさせよう。
(続く)